「ブログを書きたいけど何を書いていいかわからない」人は、とりあえず「半年後の自分」に向けて書けばいいと思う

今年に入って、「Stripeについて検索すると、結構な確率で岡本さんの記事が出てくるので助かります」と言われることが増えてきた気がします。

Stripe入社一年目に、「一番得意なことで、とりあえずわかりやすい数字を出そう」と考えて「年間150記事更新達成」なんてイカれたことに取り組んでたので、単純に記事の数が多いから引っかかりやすいというのもあるかもしれません。

最後の最後で「今年(2021年)にでた製品( Stripe Apps )を紹介する記事を、アドベントカレンダーになぞらえて毎日書くよ」とマネージャーに報告したら、「お、おう」と若干困惑したような返事がきたなんてこともありました。

ブログや情報発信も、まずは「型」

「なんでそんな量の記事かけたんですか?」とか「記事書く以外の仕事やる時間あったんですか?」みたいな質問を社内外で受けることもあったのですが、たぶん自分なりの、「技術記事を書く型」があったのが大きいかなと思います。

「紹介したい機能は、どんな場面でつかえそうか」から考えて、「その場面になる時って、どんな課題があるだろう?」「その時って、どんな実装になっていることがあるか?」みたいなことを詰めていことが多く、小見出し・目次だけで下書きを先に作ります。

そこまでやってから、実際にサンプルコードをNext.jsなりHonoなりで書きはじめます。目次を作った時点で「ニッチすぎないかな?」とか「複雑すぎるなこれは」となった記事は、オフの時間で書く個人ブログ行きになったりチュートリアル・ワークショップ企画側のメモ行きになったりでいわゆる「お蔵入り」になります。

サンプルコードと、スクリーンショットが揃ったら、あとはそれぞれを紹介したい小見出し・セクションにはめ込んで、説明文を追加します。「どういう話をするか(小見出し)」と「何を紹介するか(コード・スクリーンショット)」がすでに揃っているので、このステップでは「記事を書く」というよりは、「フォームに必要情報を入力する」くらいの気持ちで作業しています。

たまに「あれ、ここでこの値を足したらこんなユースケースに対応できそうだな」とか「このケースって、別のユースケースでも使えそう」となると、新しい下書きを作成してコードやメモ書きだけ残しています。

1記事を書く作業で2・3記事のラフ下書きができあがるので、あとは複利式で書けば書くほど「次に書く記事・試すコード」が増えていく状態が生まれます。ここまで来ると、「1日で4記事5記事をまとめて作ってしまうか、最後の校正ステップだけ残す状態まで持っていく」みたいな働き方ができるようになります。

型がないカテゴリの記事は、以前として遅筆

技術記事はいくらでも書けるのですが、反対に「イベント参加・登壇レポート」や「読書メモ」「自分の考えを書く記事」などは非常に遅筆です。

Xへのポストで断片的に書いたり、Notionのメモに残しているものはあるのですが、10個のメモから記事になるのは1つか2つという有様で、技術記事をかくときのペースはどこに行ったのやらです。

自分の中で「多分そうなんだろうな」と思っている原因は、「『どうアウトプットするか?』が決まってないから整理できない」説です。しまう場所が決まっていないから、デスクの上が散乱するのと近いかもしれません。

「誰に向けて」が決まらないと、LLMでも公開できる記事には仕上げにくい

「メモがあるなら、それでLLMに書かせれば良いのでは」と思って試したこともあります。が、何本か試してみて感じたことは、「なんか違うんだよなー。公開はやめておくか」という制作案件でクライアントに言われたら戦闘体制に入りかねない感想でした。

「なんか違う」となるのは、「どうしたいか」がなんとなく自分の中にはあるくせに、「それを言語化せずに伝えれていない」から「前提が共有できていない」のが原因だろうと思っています。とすると、作ったメモは誰に向けてのものだったのかという話になりそうです。メモを誰に向けて書くかといえば、自分のデスク・手元に残しておくものに限ればほぼ間違いなく自分向けでしょう。

とすると、考えないといけないのは、「そのメモを、どんな自分に向けて整理しないといけないか」なんだろうなと思います。

技術記事は、「半年後の自分」に向けて書き始めた

もともと個人ブログで技術系の記事を書き始めたのは、「半年もしたら、この実装方法を絶対忘れてるからメモしておこう」だったと記憶しています。なので「半年後に、同じ作業や現象に遭遇した時、自分が読み返してすぐに対応できるようにする」ための内容を作る必要がありました。

4年5年と続けた結果、そこで自然と出来上がったフォーマット・型を、「xxな開発者なら、どんなことが知りたいだろう?」で応用できるようなったのが、年間150記事や一人アドベントカレンダーの完走につながったのかもしれません。

このように考えると、技術記事以外も、「まずは、未来か過去の自分に向けて書いてみよう」が少なくとも自分には向いている気がします。

「こういう話、昔の自分が知りたかった場面はあるかな?」とか「今はこの本の内容を使う場面ないけど、どんな状況になったら必要になるかな?」みたいなことを考えていくと、読書メモや最近知った概念の紹介なども執筆ペースがあがる・・・かもしれません。

それはそれとして、たまには結論も対象も考えずに書きたいことをただ書くだけの「Web log」も続けていくと思いますが。

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