生成AIとHeadless CMSに感じる可能性

この記事は「microCMSでこんなことができた!あなたのユースケースを大募集 by microCMS Advent Calendar 2024」20日目の遅刻記事です。

執筆体験とデータ整理のやりやすさ

ブログは主にWordPressを利用し、仕事ではQiita / Zennに記事を書くことが多い生活をしています。microCMSはポートフォリオサイトに載せる自分の取り組みや登壇予定などの情報を入れるのに使っていますが、更新頻度としてはどうしてもHeadlessではないCMSやプラットフォームを使うことのほうが多い状況です。

なんでHeadless CMS系よりもそうでないツールの方を使うことが多いのか?とすこし考えてみたのですが、Headless CMS系のツールはデータベース的に設計・利活用する方向で考える癖がついているのは1つかなと思っています。

多くのHeadless CMSサービスは、API・リソースごとにフィールドやデータの種類をカスタマイズできるようになっています。そしてそれらを利用することで、シートやデータベースを用意して管理していた情報の類を、CMSのインターフェイスとAPI経由で入出力できるようになったのが便利さを生んでいるとも思っています。

しかし一方で記事や文章を書く場合には、この細かく設定されたフィールドが書くペースを鈍らせることもあります。自分の場合、何かの記事を作る場合は、書く順番や添付するファイルなどを雑に積み上げて、それを整理する形をとります。メインの技術ブログであるWP Kyotoなどは典型的で、コードやメモ・スクリーンショットだけを置いた下書き記事が常時50件以上ストックされています。

このような形で運用する場合、整理されていない・整理できない情報をもとにコンテンツを作ることになります。そしてこの手のタスクは、Headless CMSの良さを消すか、苦手とする領域での作業を強要するのではないかとも思っています。この手の1フィールドに全て詰め込むタイプのコンテンツ管理は、リッチエディタ機能などでHeadless CMSでももちろん実現可能です。ただしCMSの1機能として提供されるリッチエディタと、その種類の記事を書くために作られているCMSやプラットフォームを比較した場合、やはりQiita / Zenn / WordPressと比較すると書きやすさ・編集しやすさで少し後ろを走っている印象を受けます。この辺りはWordPressにカスタムフィールドを山積みにするのと同様で、ツールやCMSの向き・不向きに関連する問題でしょう。

生成AIを挟んでいいところどりする

生成AIの登場によって、ちょっと状況が変わってきたのではとも思っています。これによって、書きやすいインターフェースを使いつつ、APIで取得しやすいように情報を整理して保存することが実現できるのではないでしょうか。整理されていないコンテンツや、想い・感想などを書くタイプのブログを受け付けるCMSと、検索や情報の利活用にフォーカスした「CMSの裏側にいるHeadless CMS」という構成です。

例えばレストランや飲食店に行った感想を投稿するブログを考えてみましょう。通常、お店に行った感想や写真と、営業時間や店名・住所などは1つの記事としてまとめて入力されます。もちろんここでライターに「感想コンテンツはこちら、営業情報などはこのフォームに書いてください」と指示することは可能ですし、よほどの小規模メディアでなければそのような運用でしょう。しかし個人で運用しているブロガーなどでは、そこまでの作業を毎回行うのは難しく、ましてや趣味で行なっているブログなどではより難しいでしょう。そうなった時に、生成AIをHeadless CMSを後ろに配置できる仕組みが入れれないかなと思っています。

ライターはただ1つのブログ記事を作成します。記事の中でお店の営業時間なども書いてもらうようにしましょう。そして記事内容を生成AIに渡します。生成AIは記事内容を確認し、サイト内検索やSEOのための構造化データとして必要な情報を抽出します。抽出した情報は、Headless CMSに保存されます。あとはサイト内検索や表示する側のコードから、Headless CMSの情報をもとに取得・表示を行います。このようにすることで、編集者などが後から直接確認・変更などもできるGUI付きのデータベースをHeadless CMS上に構築できます。

もちろん現状としては、この3者を橋渡しする仕組みもなければ、ベストプラクティスもなく、絵に描いた餅でしかありません。ただ、「ライターがWordPressに慣れているから、そちらに寄せたい。そのため開発者もWordPressにあわせてください」となることや「システムの関係で別のCMSに変えます。ライターは新しいCMSの使い方を覚えてください」となるのもどちらかに負担がかかるため、良い感じにいいとこ取りする仕組みが作れないかなぁとは思っています。

執筆体験・管理フロー実験場としてのWP Kyotoに、これからもお付き合いください

このような「CMSやコンテンツ管理はこうあると、自分は嬉しいと思う」と感じたことについて、WP Kyotoという技術ブログサイトへ定期的に実験実装を追加しています。WordPressと生成AIを連動させる部分については2024年に1つ目のリリースを無事終えました。1000記事以上あるブログですが、情報の整理は不十分ですので、次のステップとしてmicroCMSをはじめとしたheadless CMSの助けを借りた情報整理や更なるコンテンツ企画などを目指していけたらと思います。

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