ブログや発表の場で、「外のモノサシ」を使って仮説を検証する

コミュニティ運営などに参加していると、「外のモノサシ」というワードを耳にすることがあります。ざっくりとした意味では、「自分以外の視点・価値観」を「外のモノサシ」と定義し、「外から見たときに、その考えやモノがどのように評価されるかをみてみよう」などの文脈で使われます。

自分たちの活動を外のモノサシで測ると「まだまだよそに比べたら負けているな」と思うケースもありますが、実は自分たちが手にしている“宝の価値”を正当に評価できていないケースも少なくありません

https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1805/30/news011_2.html

「自分の当たり前・常識」を「外のモノサシ」で測ってみる

なかなか難しいことではあるのですが、一つの会社・ひとつのコミュニティで長く取り組みを続けていると、価値観や判断基準がその場に最適化されすぎることがあります。これは悪いことでもなく、その場を効率的に回すため、効率化を続けた結果として発生する副作用的なもので、そうなるまでその場で取り組みをし続けた貢献は無視できるものではありません。

これをあえて副作用とよんでいるのは、「外的要因」や「不可避な流れ」に対する柔軟性が失われることにあります。例えばAWS Lambdaやfirebaseなどの登場で、「サーバーレス」という概念が登場した際、Linux / PHP / MySQLなどで動かすことに最適化し続けていた多くのCMSは、「サーバーレスの対極にある存在」として扱われることになりました。このようにそもそもの前提条件が変わってしまうケースは、ビジネスやプログラミングの領域では珍しいことではありません。最近ではOpenAIをはじめとするLLMの登場も、働き方などを大きく変えうる存在として注目を浴びています。

このような場面で、「ゲームのルールが変わったこと」「前提条件が変わっていること」に気づくためには、「自分が今どこに立っているか」を測る必要があります。そのために外の価値観・外のモノサシを使います。

登壇や発信は、外のモノサシに自分の価値観をぶつける機会

では具体的にどうやって外のモノサシを使えばよいのでしょうか。コミュニティに参加している場合、最も効率的なことは、「前で話す・登壇する」ことです。

地域のイベントやカンファレンスで登壇すると、参加者と運営メンバーからなにかしらのフォードバックを得ることができます。それが賛同・共感なのか、「自分は違う考えを持っているので、議論したい」なのかはその時にならないとわかりませんが、それらも含めて「外のモノサシ」で自分の考えや取り組みを測ることにつながります。

もし異論があがった場合も心配することはありません。もしそれが自分にとっても一理あるなと思うことであれば、次回からその考えも取り込んでしまえばよいのです。納得がいかない場合もありますが、その時は懇親会や二次会で腰を据えて議論するのも一つです。「私が間違っていましたごめんなさい」のようなどちらかの勝利で終わることは、経験上まずありませんが、「この人とは自分とは違う背景・視点を持っている。だから定期的に話すと、自分に無い視点で意見をもらえそうだ」というつながりを作ることができます。そうなれば登壇資料として整理するに至っていない考えなども、知り合った面々と食事や飲み会に行った際や通話の中で議論できるようになります。

「セッション公募に落ちた」もまた、モノサシで測った結果

さまざまなOSSやユーザー会がカンファレンスを毎年開催しています。そしてその中では、「スピーカーの募集」を行っていることもすくなくありません。もし自分の考えを、外のモノサシで測ってみたいと思った人は、これらのカンファレンスに応募してみましょう。応募するのは無料ですし、選考に落ちたからといって、キャリアに傷がつくこともありません。

応募したトークが採択されたということは、そのコミュニティが自分の考えに大きな興味を持っているということです。不採択だった場合は、採択されたセッションの一覧や概要を見てみましょう。そうすることで、「そもそもこのカテゴリの話は、あまり興味を持たれていないのかもしれない」や「同じ考えのもっと凄い人がいたからか。だとすると、考えの方向性自体は悪くなさそうだ」などの気づきを得ることができます。つまりは応募することに損はなく、タダで自分の考えをカンファレンス実行委員会とその人たちが所属するコミュニティに測ってもらうことができるということです。

まずは応募してみよう

この冬、そして来年にかけて、カンファレンスの開催告知は止まることを知りません。PHPカンファレンスに至っては各都市で毎月開催する勢いでアナウンスされています。

まずは応募してみましょう。そして採択されなかった場合に、「どんな人・応募が採用されたか」を見てみましょう。そうすることで、外のモノサシに対して、自分の考えや取り組みを測り続けていうことができます。

[PR] WordPressやウェブの仕事に関する考えを、ぜひ2月の神戸でぶつけてください

WordPressコミュニティのユーザーカンファレンス、WordCampが2024年2月24日に三ノ宮で開催されます。2023年11月末までセッションの募集を行っていますので、ぜひ「自分の考えや取り組みが、外からみてどう見えるか」を測ってみたい方は、セッション登壇者募集フォームからお申し込みください。

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